テストライン

落下テストは、ヘルメットの全面 で行われるわけではありません。頭の保護に必要な範囲が『保護範囲』で、その範囲の中でも特に脳を守るのに重要な部分が『テスト範囲』とされます。この保護範囲やテスト範囲は、ヘルメットの規格毎に設定されているので、規格名によりそれぞれ異なります。それでは、保護範囲とテスト範囲について説明しましょう。

 

 

 

 

 

▲SNELL職員の手によって、ヘルメットのテストラインが引かれます。 【写真提供:スネル記念財団】

JISのテストライン

 

SNELLのテストライン

※保護範囲図はJIS、SNELLとも、『ISO人頭模型・E』のデータを参考にしています。
上図における人頭模型(赤で描画)の、赤色で塗りつぶされた部分がテスト範囲です。これに赤い縦線の部分をプラスした範囲が、頭を守る構造が要求される保護範囲です。テスト時には、テスト範囲を示す線(テストライン)がヘルメットの表面 に描かれます。安全性能がテストされる個所はテスト範囲のみで、保護範囲については目視によるチェックが行われるだけです。この事は、テスト範囲さえテストにパスしていれば『規格適合品』として販売できると言うことになります。しかし、実際の事故では、テスト範囲以外に衝撃を受けることが考えられ、その時に衝撃を吸収しなければならない、テスト範囲より下の部分がどう作られているかは、規格だけでは見えにくい、メーカーの良心に関わる部分です。