SNELLって何?

レース専用ではなく、全てのユーザーを対象とした規格。

スネル記念財団は、非営利的機関として組織されました。この財団の特徴は利益のためでなく、人々の安全のために活動している点にあり、『レースに参加する人だけでなく、全てのユーザーを対象とした最高の規格を設定し、その規格に適合しているヘルメットか、適合していないヘルメットかを識別 する有効な手段をユーザーに提供する』というポリシーのもとに運営されています。また、スネル記念財団の定めるSNELL規格は、『約5年毎に規格が見直され、その度に厳しくなる』という、他の規格では見られない特徴を持っています。これは、『最大可能な防護こそ、望ましい最終的なゴールである!』という前提の下、『テスト条件を設定する際にも、最もシビアな条件を採用する!』というフィロソフィー(原理)に則ったものです。

 

 

 


▲現在も、スネル記念財団に保管されている、事故当時にスネル選手が被っていた保護帽。 【写真提供:スネル記念財団】

SNELL規格の種類

SNELL規格では、幅広いカテゴリのヘルメットに、それぞれ専用の規格を定めています。

 

 

 

 

SNELLの規格カテゴリ
規格名
乗馬用
馬車レース用
カート用
自転車用
モペット用
二輪乗車用
スキー、スノボ用
S・RS
レース用自動車乗車用
SA
スケボー等、一般 スポーツ用

5年毎の規格見直し

ヘルメットの安全性を、より高めるためです。

SNELL規格は約5年毎に規格が見直され、しかも、その度に厳しくなっています。ヘルメットメーカーは、この難易度が増した規格にパスするヘルメットを作るよう、求められます。その為には、新規格の発表を待っていたのでは対応が遅れてしまいます。ヘルメットメーカーは、現時点のSNELL規格+数%厳しい基準でテストを行い、事前に備えておく必要があるのですが、規格にパスする製品ができない場合、メーカーは、スネル申請をあきらめるしかありません。この『5年毎の規格の見直し』は、ヘルメットメーカーをふるいにかけるようなもので、スネルのヘルメットメーカーへの挑戦状とも言えます。

SNELL規格の認定を得ようとするヘルメットメーカーは、スネルにヘルメット(一つのモデルに対して、各サイズを数個づつ)を送ってテストを依頼します。そして、テストに合格したヘルメットに『スネルライセンス』と『スネルラベル』が発行されます。そしてこの『ラベル』は、SNELL規格品ヘルメットの一つ一つに貼り付けられます。

 

 

 



SNELLとは人の名前

当時、有名なレーサーだったピート・スネル氏は、レース中に事故を起こしました。そして、事故の際に被っていた保護帽は大きく割れてしまい、保護帽としての機能を十分に果 たさなかったため、スネル氏は死亡しました。スネル氏の友人達はこの事を悔やみ、1957年に『スネル記念財団』を設立し、1959年に独自の規格を定め、その規格の合否によって一般 のユーザーが、ヘルメットの性能を容易に判断できるようにしました。これが『SNELL規格』の始まりです。


▲レーシングカーのステアリングを握る、ピート・スネル氏。

 
▲事故の瞬間。バランスを崩した車体は激しく横転し、スネル氏は車体の下敷きに。
 
▲駆け付けた人々によって救助活動が行われたのだが、彼はかえらぬ 人となった・・・。